○神埼市手話言語の普及及び障がいの特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する条例

令和7年9月17日

条例第26号

手話は、音声言語とは異なり、独自の文法体系を持ち、手指の動きや表情等により視覚的に表現する言語である。手話は、ろう者のコミュニケーションにとって必要不可欠なものであるが、長きにわたり手話が言語として認められてこなかったことや、手話を使用することができる環境が十分に整えられてこなかったことなどから、ろう者は、必要な情報を得ることやコミュニケーションを図ることが難しく、多くの不便や不安を感じながら生活してきた。

また、障がい者の権利に関する条約や障がい者基本法において、手話は言語として位置付けられたが、手話に対する理解は十分には進んでいない現状である。あわせて、手話、要約筆記、点字などの障がいの特性に応じたコミュニケーション手段への理解や普及も十分には進んでおらず、日常生活や社会生活を営む上で、不便や不安を感じている人は少なくない。このような状況の中、障がい者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律が施行され、全ての障がい者が必要な情報を取得し、相互理解を深めることができる環境を整備することが求められている。

これらを踏まえ、言語としての手話への理解の促進及び障がいの特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進を図ることにより、障がいの有無にかかわらず、全ての市民がお互いの人格と個性を尊重し支え合う、誰もが安心して暮らすことができる共生社会の実現を目指して、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、言語としての手話への理解の促進及び障がいの特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進について基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、市が推進する施策の基本的事項を定めることにより、障がいの有無にかかわらず、全ての市民が相互に人格と個性を尊重し支え合う社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 障がい 身体障がい、知的障がい、精神障がい(発達障がいを含む。)、難病その他の心身の機能の障がいをいう。

(2) 合理的配慮 社会的障壁を取り除くために何らかの対応が必要とされる場合に行う、負担が過重ではなく合理的な対応をいう。

(3) 障がいの特性に応じたコミュニケーション手段 手話言語、要約筆記、筆談、字幕、点訳、音訳、拡大文字、代読、代筆、平易な表現、写真、絵図、絵文字、記号、身振り、手振り、文字、透明文字盤、代用音声(喉頭摘出等により使用するものをいう。)、重度障がい者用意思伝達装置、パーソナルコンピュータ等の情報機器その他の障がい者が情報の取得及びコミュニケーションを行う際に必要な手段として利用されるものをいう。

(4) コミュニケーション支援者 手話通訳者、要約筆記者、点訳音訳ができる人、代筆代読ができる人、盲ろう者向け通訳・介助員その他の障がい者の意思疎通の支援を行う者をいう。

(5) 市民 市内に居住し、通勤し、又は通学する者及び市内で活動する団体をいう。

(6) 事業者 市内に事業所又は事務所を有し、事業を営む個人又は法人その他の団体をいう。

(基本理念)

第3条 言語としての手話への理解の促進及び障がいの特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進は、障がいの有無にかかわらず、全ての市民が相互に人格と個性を尊重し支え合うことが重要であるとの認識の下に行うものとする。

2 手話言語の普及は、手話が独自の文法体系を有する言語であって、ろう者が日常生活及び社会生活を営むために大切に受け継いできた文化的所産であるとの認識の下に行うものとする。

3 障がいの特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進は、障がい者の自立した日常生活及び社会生活を確保する上で重要であることから、その選択の機会の確保及び利用の機会の拡大が図られることを基本として行うものとする。

(市の責務)

第4条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、言語としての手話への理解の促進及び手話の普及を図るとともに、障がいの特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する施策を推進するものとする。

2 前項の規定による施策の推進に当たっては、関係団体、県等と連携を図るものとする。

(市民の役割)

第5条 市民は、基本理念に対する理解を深め、前条の規定により市が推進する施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第6条 事業者は、基本理念に対する理解を深め、第4条の規定により市が推進する施策に協力するよう努めるとともに、障がいのある人が障がいの特性に応じたコミュニケーション手段を利用できるようにするために、合理的配慮に努めるものとする。

(施策の推進方針)

第7条 市は、第4条に規定する責務を果たすため、次に掲げる施策を推進するものとする。

(1) 手話言語に対する理解の促進及び手話言語の普及

(2) 障がいの特性に応じたコミュニケーション手段の普及

(3) 前2号にかかる理解を深めるため、学校等(小学校、中学校及び保育所等をいう。)への情報の提供など必要な支援

(4) 障がいの特性に応じたコミュニケーション手段を選択でき、利用しやすい環境の整備

(5) 障がいの特性に応じたコミュニケーション手段による情報発信及び情報提供(災害その他非常事態の場合を含む。)

(6) コミュニケーション支援者の確保及び養成

(7) 前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認める施策

(委任)

第8条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、令和7年10月1日から施行する。

神埼市手話言語の普及及び障がいの特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する条…

令和7年9月17日 条例第26号

(令和7年10月1日施行)

体系情報
第7編 生/第1章 社会福祉/第3節 老人・心身障害者福祉
沿革情報
令和7年9月17日 条例第26号